2020年を迎え、ブームを超え、すっかり定着した韓流ドラマの人気。韓国のドラマが面白い理由について解説していく。
韓流ドラマが面白い理由
まずストーリーテリングの豊富さが挙げられる。日本のドラマも素晴らしい作品が多いが、韓国のドラマは、感情的なドラマチックさや衝撃的な展開が特徴である。また、恋愛、家族、友情といった普遍的なテーマに深く焦点を当てることで、視聴者が自身の人生経験や感情に共感を覚えることができる。
次に、高品質なプロダクション。韓国におけるドラマ製作では、撮影、音楽、衣装、そしてセットデザインに至るまで細部へのこだわりが窺える。これにより、視覚的な美しさと共に視聴者を物語の世界に引き込む力がある。
また、韓国の俳優たちの演技力が高いことも魅力の一つ。彼らは感情表現に優れ、視聴者がキャラクターに強く感情移入するのを助けている。
世界中でヒットしている理由としては、韓流ドラマがユニバーサルなテーマを扱いつつ、それを独自の視点から描くことで、さまざまな文化的背景を持つ視聴者にも共感を呼び起こせるからだ。また、音楽やファッションといった韓国のポップカルチャーが世界中で流行っていることも、韓国ドラマの普及に寄与している。
言語の障壁は字幕や吹き替えによって低減され、ストリーミングサービス（OTT ※1）の普及により、より多くの人々が韓国ドラマを手軽に楽しむことができるようになったのだ。
（※1）OTTとは
OTTは “Over-The-Top” の略で、伝統的なケーブルや衛星放送などのメディア提供者を経由せずに、インターネットを通じてコンテンツ（映画、テレビ番組、音楽など）を直接ユーザーに提供するサービスのこと。
OTTプラットフォームの例としては、Netflix、Amazon Prime Video、Hulu、Disney+などがある。これらのサービスは、インターネット接続と互換性のあるデバイス（スマートフォン、タブレット、スマートTVなど）があれば、どこからでも視聴することが可能。
このようなサービスは、ユーザーが自分の好きな時間に好きなコンテンツを視聴できるという柔軟性に対応し、伝統的なテレビ放送の形式を変えている。また、世界中のコンテンツに簡単にアクセスできるため、地域や国境を越えたエンターテイメントの消費も促進している。
つまり、世界中のどこにあるどんな番組も、世界中のいたるところで、いつでも見ることができる。ということだ。
それでは、韓国ドラマが面白い理由と世界的にヒットする要素について、さらに詳しく解説しよう。
ストーリーテリング（脚本）
韓国ドラマは非常にドラマチックな展開が特徴で、予想外の転回や衝撃的な結末が多く描かれる。このエキサイティングなストーリーテリングは視聴者を魅了し、次のエピソードへの期待感を高める。また、韓国ドラマは社会的な問題や現代のテーマに触れることも多く、視聴者が現実とドラマの間でリアルに共感することができる。
製作陣の質
韓国ドラマは製作陣の質に優れている。秀逸な脚本、魅力を引き出す演出、美しいシネマトグラフィ、一流の照明技術、詳細な衣装デザイン、感動的な音楽スコアなど、映画レベルの製作品質を目指している。
俳優の演技力
韓国の俳優たちは高い演技力を持ち、視聴者に深い感情移入を引き出すことができる。その感情表現の深さとリアルさは、ドラマの物語により一層深みを加え、視聴者がキャラクターとのつながりを感じるようにする。
ユニバーサルなテーマと韓国の視点
韓国ドラマは、恋愛、家族、友情、社会的公正など、ユニバーサル（普遍的）なテーマを掘り下げている。しかし、それらは韓国の視点から描かれており、視聴者は新しい文化を学びつつ、自分自身の生活と関連性を感じることができる。
韓国文化の流行
K-POPや韓国のファッションが、世界中で注目を浴びているのと同様に、韓国ドラマもその一部として流行している。韓国ドラマは、これらの文化的要素を自然に取り入れ、視聴者に韓国のライフスタイルや価値観を体験する機会を提供する。
アクセスの容易さ（OTTの普及 ※1）
ストリーミングサービスの普及により、世界中の視聴者が手軽に韓国ドラマにアクセスできるようになった。NetflixやAmazon Primeなどのプラットフォームでは、多言語字幕や吹き替えオプションが提供されており、言語の壁が低減されている。
ソーシャルメディアとの相互作用
韓国ドラマはソーシャルメディア（SNS）での議論や共有を促す。ファンたちはTwitterやInstagramなどのプラットフォームで感想を共有したり、理論を展開したりする。これにより、ドラマは単なる視聴体験を超え、コミュニティとの交流や参加の機会を提供する。
これらの要素が組み合わさることで、韓国ドラマは多くの人々にとって魅力的なエンターテイメントとなり、世界的に人気を博している。
日韓、俳優と製作費の違い
それでは次に、日本と韓国のドラマにおける俳優の質と製作費について触れてみる。
俳優の質
日本と韓国の俳優たちは、それぞれ独自の演技スタイルと訓練方法を持っている。日本の俳優は、自然主義的な演技を重視し、日常生活に近いリアリティを追求することが多い。一方、韓国の俳優は、感情的な演技と強烈なスクリーンプレゼンスを特徴としており、視聴者を深く引き付ける力を持っている。この差は、ドラマの視覚的なスタイルとも密接に関連している。
製作費の差
一般的に、韓国ドラマの製作費は日本のドラマよりも高い傾向にある。これは、韓国がハイエンドなプロダクションバリューを追求し、映画並みのビジュアル品質を提供するためだ。これに対して、日本のドラマは比較的低予算で製作されることが多いが、それでもストーリーテリングやキャラクターデザインにおいて高い評価を受けている作品もある。
しかし、これらは一般的な傾向であり、必ずしも全ての日本のドラマや韓国のドラマがこのパターンに当てはまるわけではない。また、どちらが上であるというのは個々の視聴者の好みに大きく左右される。両国のドラマは、それぞれが持つ特性と独自性によって視聴者を引きつけている。
俳優とキャスティングのあり方
韓国ドラマと日本ドラマの俳優について比較すると、そのキャスティングと演技のスタイルにはいくつかの違いが見られる。
韓国はプロの演者
まず、韓国の俳優は一般的に、長時間の撮影や過酷なスケジュールにも対応できるよう、専門的な演技訓練を受けていることが多い。これは韓国のエンターテイメント業界の特性であり、専門的な演技力を求められる傾向がある。また、韓国ドラマは視覚的な要素が重視されるため、俳優の見た目やフィジカル、スタイルも非常に重要な要素となる。
日本はアイドル
一方、日本のドラマにはアイドル俳優が多く出演している。特にジャニーズ事務所のタレントは、その人気と影響力を利用して多くのドラマに出演している。これらのアイドル俳優は、音楽やバラエティーといった他のエンターテイメント分野での活動を通じて人気を集め、それがドラマの視聴率につながることが多い。
ただし、アイドル俳優の起用が多いという特性は、日本ドラマ特有のものであり、必ずしも全ての作品がそのような傾向を持つわけではない。一部の作品や制作会社では、劇団や映画業界から専門的に演技を学んだ俳優を起用することもある。
ターゲットの違い
また、日本と韓国のドラマはそれぞれ異なる視聴者層を対象としていることも、キャスティングの違いに影響を与えている。韓国ドラマは世界中の視聴者をターゲットにしているため、俳優の国際的な知名度や実力と、魅力が重視される傾向がある。一方、日本ドラマは主に国内視聴者を対象としているため、国内での人気や認知度が重視されることが多い。
これらの違いは、韓国ドラマと日本ドラマがそれぞれ異なる文化的背景や産業構造を持つことを反映していると言えるだろう。
今後の成長と期待
では、最後に総括として、日本ドラマと韓国ドラマは、それぞれ、今後どのように成長していきそうか？
それぞれのドラマが今後どのように成長していくかは、多くの要素によって左右されるが、いくつかの傾向や可能性について述べてみよう。
韓国ドラマの将来
韓国ドラマはすでに世界的に広く認識されており、その人気は引き続き高まる可能性が高い。その要因としては、韓国の音楽、映画、ファッションなどの大衆文化が世界的に注目されていること。また、これまでに成功を収めた韓国ドラマの実績に対して、さらなる投資が増え、製作に掛けるコストが上昇している。
これによって、さらにグローバルな視聴者を意識したストーリーテリングを取り入れ、さまざまな国や文化の視聴者に共感を呼び起こす可能性がある。
日本ドラマの将来
一方、日本のドラマもまた独自の道を歩む可能性がある。アニメーションやマンガといった日本のコンテンツが世界的に成功を収めているのと同様に、日本のドラマもその独自の視点とストーリーテリングでグローバルな視聴者を魅了する可能性がある。
具体的には、日本独自の文化や社会問題を扱いつつ、それをユニバーサルな視点から描くことで、さまざまな国や文化の視聴者に共感を呼び起こす作品が増えるかもしれない。
このように、韓国ドラマと日本ドラマは、それぞれが独自の強みを活かして、異なる形での成長を遂げる可能性がある。それぞれの業界が持つ独自性と多様性を尊重し、それぞれの視聴者が求めるものを提供することで、韓国ドラマは引き続き、日本ドラマは新たな成功を収めることができるだろう。
