サメのように数億年前(古生代)から現在まで生き残っている「生きた化石」的な生物は他にもいくつか存在します。以下に代表例を紹介します:
生きた化石」的な生物
カブトガニからワニまで。
1. カブトガニ(約4億5千万年前〜)
- 学名:Limulus など
- 特徴:硬い甲羅、長い尾、青い血液(銅を含むヘモシアニン)
- 備考:海岸の浅瀬に生息。現在は絶滅危惧種。

2. シーラカンス(約4億年前〜)
- 学名:Latimeria
- 特徴:四肢のようなヒレ、肺の痕跡、硬い鱗
- 備考:1938年に「再発見」されて話題に。深海に生息。

3. オウムガイ(約5億年前〜)
- 学名:Nautilus
- 特徴:渦巻き状の殻、原始的な目と触手
- 備考:アンモナイトと近縁だが現代でも生息中。
4. シダ植物・ヒカゲノカズラ類(約4億年前〜)
- 特徴:種子を持たない、胞子で増える
- 備考:石炭紀に繁栄した植物の子孫。現在も森林などに生息。
5. ゴキブリ(約3億年前〜)
- 特徴:頑丈な体、極めて高い環境耐性
- 備考:「最強のサバイバー」と呼ばれる。中生代からほぼ形を変えずに生存。
6. シロアリ(約2億5千万年前〜)
- 特徴:社会性昆虫。木材を分解
- 備考:恐竜と同時代から存在し、木を分解する重要な役割を担う。
7. ワニ(約2億年前〜)
- 特徴:爬虫類、半水生、非常に頑強な生態
- 備考:恐竜と同時代から生存。現在の種は約8,000万年前に登場。
絶滅に耐え抜いた生きた化石たち
では、上記で挙げた「数億年前から生きている生物たち」について、なぜ絶滅せずに生き残ってこれたのか(=進化・環境適応の理由)を中心に、1種ずつ解説します:
1. カブトガニ(約4億5千万年前〜)
- 進化の安定性:体の構造が非常に効率的で、環境が大きく変わっても適応の必要が少なかった「完成された形」とも言われています。
- 捕食者の少なさ:硬い甲羅と鋭い尾で外敵から身を守れた。
- 浅瀬に生息:深海や陸地よりも安定した環境で、長期間生き延びるのに有利。
- 現代での危機:生息地の破壊や乱獲により、現在は絶滅の危機にあります。
2. シーラカンス(約4億年前〜)
- 深海への適応:変化の少ない深海に棲むことで、大規模な環境変化の影響を受けにくかった。
- ゆっくりとした進化(進化的停止):進化の速度が非常に遅く、1億年以上ほぼ同じ姿。
- 低エネルギー生活:代謝が低く、少ない餌でも生きられる。
- 再発見:1938年、アフリカ沖で生きた個体が発見されるまで「絶滅した」と思われていました。
3. オウムガイ(約5億年前〜)
- 貝殻による浮力調整:殻の内部にガスを貯めて浮いたり沈んだりできる独特な能力。
- 深海での生活:これもまた安定した環境に身を置いていたため、絶滅のリスクが低かった。
- 捕食を避ける習性:夜にだけ浅瀬に上がる「夜行性」で天敵から逃れていた。
4. シダ植物・ヒカゲノカズラ類(約4億年前〜)
- 胞子での繁殖:水や風で広がる胞子によって、乾燥や災害にも強い。
- 環境耐性:土壌が少ない岩場や森の下層など、他の植物があまり育たない場所にも根を張る。
- 根の少ない時代に優位:種子植物が出現する前の地球で、一気に広がるのに適した形でした。
5. ゴキブリ(約3億年前〜)
- 雑食性:あらゆるものを食べられるため、食料が少ない環境でも生きられる。
- 高い繁殖力:短期間で大量に繁殖できる。
- 極めて高い環境耐性:寒さ、乾燥、放射線にも一定の耐性あり。
- 高速で移動し俊敏:捕食者から逃げやすい。
6. シロアリ(約2億5千万年前〜)
- 社会性(コロニー):役割分担(女王、兵隊、働きアリ)により効率的に生存。
- 木を分解する能力:セルロースを消化できる微生物と共生しており、他の生物が利用しない資源を使えた。
- 温暖湿潤な環境への適応:熱帯・亜熱帯に広がり、地球温暖化にも比較的強い。
7. ワニ(約2億年前〜)
- 捕食者としての完成度:強力な顎、鋭い歯、水陸両用の機動力。
- 変温動物(代謝の低さ):餌をあまり食べなくても長期間生きられる。
- 地球規模の大災害を生き延びた:恐竜を絶滅させた隕石衝突後も、沼や川などの水辺で生き延びた。
総まとめ:なぜ彼らは絶滅しなかったのか?
- 環境変化が少ない場所(深海、浅瀬、沼地)に適応していた
- 省エネルギーで生きられる仕組みを持っていた
- 捕食者に対する防御や逃避能力が高かった
- 進化のスピードよりも「完成された体」で長期間耐えられた