剣の詩 / Song of the Bandits【原題】도적: 칼의 소리 ★3.1 キム・ナムギル、ソヒョン、イ・ホジョン

3つ星ドラマ

Netflixオリジナルの韓国ドラマ「盗賊」は、1920年代の日本統治時代を背景に、祖国を追われた朝鮮の村人たちと彼らの土地を無法者たちから守ろうとする盗賊たちのスリリングでスケールの大きなアクションドラマ。

ドラマ評価★3.1
OST評価♫3.3
ジャンルアクション
ノワール、時代劇

概要 | 剣の詩

【原題】도적: 칼의 소리(トジョク:カレソリ / 盗賊:剣の音)

Netflixドラマ(全9話)2023.9.22放送開始
2023.10.4 視聴開始〜 Ep9 視聴完了 2023.10.10

監督演出:ファン・ジュニョク、パク・ヒョンソク、キム・サンフン
脚本:ハン・ジョンフン
企画/製作:スタジオドラゴン / アーバンワークスメディア、バラムピクチャーズ
音楽:キム・チャンウ
制作費:360億ウォン

ハングルのキャッチコピー「生き残るために、必ず奪うのだ」

ざっくりあらすじ | 剣の詩

1920年代、それぞれ異なる事情で無法地帯の間島(カンド)の山岳部に住み着いた移民とアウトローたちが己の生活を守ろうと団結する物語。元日本軍少尉だった主人公のイ・ユン(キム・ナムギル演)は、村人虐殺事件を期にすべてを捨ててカンドへ向かい、その土地と人々を守る盗賊の首領となる。

時は流れ、イ・ユンとチェ・チュンス(ユ・ジェミョン演)は仲間たちとともに、村人の生活をさらに安定させるべく、日本軍の列車から20万円(現代の6~7億円に相当)強奪を企む。ところが同時に、鉄道局課長のナム・ヒシン(ソヒョン演)も朝鮮独立運動の軍資金として、暗殺者オン・ニョニ(イ・ホジョン演)を雇い、この20万円を狙っていた…

時代背景と時代考証 | 剣の詩

ドラマの舞台として登場する地は、満洲の間島(かんとう ※1)。ドラマにおける建物看板のほとんどが、中華人民共和国成立後の1949年以降に制定された簡体字で書かれている点は、便宜上と思われる。
(※1)間島は、中国と朝鮮半島の間に流れる豆満江(トマンガン)以北にある朝鮮民族居住地を指す。現、中国吉林省東部の延辺朝鮮族自治州一帯。

本作のヒロインであるナム・ヒシンの職は朝鮮総督府の南満州鉄道課長だが、当時、女性が朝鮮総督府内で課長などの高位職に就いたことは確認されていない。朝鮮総督府の場合、職員の多くが帝国大学の卒業生で、高等文官試験または普通文官試験に合格した男性官僚が多く、朝鮮人女性が試験を受けることができたかどうかは不明。

しかし、南満州鉄道(満鉄)は半官半民企業であり、総督府の管轄下に変更された後も、委託運営など一般的な総督府の所属とは大きく異なる点があることを考慮すると、女性である点がそれほど時代考証的に目くじらを立てるほどではないと考える。

劇中で起こった主要な出来事は、実際に1920年代の間島地域で起こった「十五万円強奪事件」、「間島事件(かんとうじけん)/ 琿春事件(こんしゅんじけん)」、「三矢(みつや)協定」、「キルフェ鉄道(吉會鐵道)設立反対闘争」など、歴史的な出来事と多くの類似点を持っているため、本作は実話に基づいているような設定としているがフィクションである。

馬賊団

1920年代にはまだ「創氏改名(※2)」が行われていなかったにもかかわらず、劇中で朝鮮人イ・グァンイルが「三浦正平(みうらしょうへい)」という日本名を名乗っている点は、日本統治時代の朝鮮を背景とした韓国ドラマの特徴。当時、大韓帝国の高官を務めた後に朝鮮貴族となったほとんどの人は、この時点でも本名である朝鮮名を名乗るのが通例であった。
(※2)「創氏改名」は1939年に発令、1940年に施行。

この当時、意外にも険悪だった日本帝国の警察と陸軍との関係をかなりうまく描写している。実際、韓国人の視点から見ると、日本の警察と陸軍は同じように捉えられることが多い。しかし、実際には、大阪でゴーストップ事件(1933年)で象徴されるように、非常に敵対的な関係であった。

銃器と軍服の時代考証

十四式拳銃とモーゼルC96を持って対峙する際のイ・ユンとオン・ニョニのシーンを見ると、銃器の描写にかなり注意を払っているように思われる。しかし、この時代から約20年後の1938年に装備されるドイツの短機関銃MP40が登場することや、高価なトンプソン・サブマシンガンを財力に乏しかった朝鮮人が持ち出すことなど、時代背景にそぐわない銃器描写がいくつかある。

また、イ・ユンとイ・グァンイルが日露戦争勝利(1905年)を祝うパーティに参加する際、まだ配備されていないはずの明治四五式軍衣(1912年配備)を着て登場するシーンもある。さらに、イ・ユンが四五式軍衣を着用しているにもかかわらず、兵卒の階級章である点も矛盾している。極めつけは、イ・グァンイルの副官、ハン・テジュ(コ・ギュピル演)は中尉であるためブーツを履くべきでありながら、兵士同様の軍靴を履いているなど、階級と服装が合っていない場面が散見される。

ドラマ評論 | 剣の詩

朝鮮独立運動を潰そうとする日本軍というプロットを背景に、殺し屋、盗賊、朝鮮からの移民など、それぞれの動機を持つ様々なグループが、間島(カンド)でぶつかる。次々と緊迫したシーンが繰り広げられていく様は言わば、エンターテインメントアクション西部劇といったところだ。

日本統治時代の朝鮮独立運動といえば、重くなりがちなテーマを、軽快な西部劇に仕立てたプロットは少し軽く感じる。しかし、戦闘・格闘シーンを映画「マトリックス」や「キル・ビル」で使われた劇画化的演出によってテンポよく編集されているので、楽しめる作品となっている。

作品全体に漂う雰囲気は「ミスター・サンシャイン」の世界観に近く、スピンオフ作品と捉えられてもおかしくない。

現在視聴中に付き、★3.4の評価だが、今後の展開によっては、さらに高い評価が出来そうな期待感がある。

(追記:10.10)第9話の終わり方が、よくわからない。エピソード2へ繋げているせいかもしれないが、脚本も荒っぽく、もっとうまく期待感をもたせるような持って行き方があったはず。結果、★3.1の評価。ただのアクションドラマとして楽しむ分には、この程度で良いのかもしれない。

制作費 | 1話あたり40億ウォンで最高額を更新

世界的に大ヒットした「イカゲーム(2021)」以来、韓国ドラマに対する投資額は増大する傾向にあり、本作も360億ウォン(約39億円)という巨額の制作費が投じられている。ドラマ制作費総額としては、「ムービング(2023)」の650億ウォン(約70億円)が史上最高額。しかし、1話あたりに換算すると本作の40億ウォン(4.3億円)は「ムービング」の32.5億ウォン(約3.5億円)を上回り、韓国ドラマ史上最高額となった。

ちなみに「ミスター・サンシャイン(2018)」の総制作費は、430億ウォン(約47.3億円)で、1話あたり18億ウォン(約2億円)。

Netflixで視聴!

キャスト | 剣の詩

ここのところ、ドラマ「アイランド(2022)」などの大型ドラマで活躍するキム・ナムギルと、毎年の主演ドラマの顔となったソヒョンをヒロインに迎え、準主役級にイ・ホジョンを抜擢した意欲的なキャスティング。

キム・ナムギル(イ・ユン役)

元日本軍少尉。日本軍による、ある村の皆殺し事件に関わったことで、軍を抜け出しすべてを捨てて間島(カンド)へ向かい、その土地と人々を守る盗賊になる。両班(ヤンバン)イ家の元奴婢で、ヒョヌクの幼馴染。

ソヒョン(ナム・ヒシン役)

朝鮮総督府鉄道局課長という親日派の立場でありながら、実の姿は朝鮮独立運動家。身元を隠し、三浦少佐(朝鮮名イ・グァンイル)の求婚を受け入れる。

ユ・ジェミョン(チェ・チュンス役)

カンドにある朝鮮人村の精神的支柱で、かつて湖南の義兵長出身者。乙末義兵を起こしてさまざまな地域で目覚ましい活躍を残したが、日帝が行った朝鮮大討伐作戦によって一家と義兵同志たちが虐殺される悲劇を体験した。

イ・ヒョヌク(イ・グァンイル / 三浦正平役)

大日本帝国19師団歩兵37連隊少佐。朝鮮出身者として最年少で少佐となる。朝鮮独立運動家討伐の急先鋒に立つ。ナム・ヒシンの婚約者。朝鮮の両班出身で、元奴婢のイ・ユンと幼馴染。大韓帝国外務大臣の息子でもある。

イ・ホジョン(オン・ニョニ役)

愛銃モーゼルC96を自在に操る、成功率100%の殺し屋。ある人物から脱走兵イ・ユンの暗殺を依頼される。

チャ・チョンファ(キム・ソンボク役)

間島(カンド)、明井(ミョンジョン)村の実業家。イ・ユンとともにイ家の元奴婢だった。

キム・ドユン(カン・サングン役)

名うてのスナイパー。

イ・ジェギュン(チョ・レンイ役)

投げ斧の名手。

チャ・ヨプ(クムス役)

怪力の武闘家。

ハン・ギュウォン(チャン・ギリョン役)

馬賊団の頭目。

コ・ギュピル(ハン・テジュ役)

イ・グァンイル少佐の副官で、陸軍中尉。しかし、その実は…

キム・ジョンテ(イ・サングク役)

カトリック教会神父として、朝鮮独立家を影で支えている。

動画紹介 | 剣の詩

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視聴者の声 | 剣の詩

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